咬み合わせ治療は、悪い歯並びや咬み合わせを整え、口元を美しく見せる歯科技術です。「矯正歯科」という呼び方が一般的かもしれません。咬み合わせ治療が有名人だけでなく一般の方でも受け入れられてきましたが、歯並びや咬み合わせが悪いと様々な弊害が起こることが、まだまだ十分に認識されているとは言えないように思われます。
歯並びに凸凹がある方、隙間があちこちにある方はもちろん、一見歯並びがきれいでも上下の歯が正しい場所でかみ合っていない場合に、これを「不正咬合」と呼び、咬み合わせに問題があるとして治療が必要になってきます。
「不定愁訴」「自律神経失調症」「肩こり・腰痛・関節痛」など、根本的な原因が良く分からない症状の場合、調べてみると、歯の噛み合わせが影響している場合が、大変多くみうけられます。しかし、普通、体調不良で内科や整形外科にいっても、「咬み合わせが原因ですね」といわれることは、まずありません。
なぜなら、「咬み合わせ」は歯科の専門領域とされており、内科や整形外科では、大学で教育を受ける機会すらほとんどないからです。そもそもの選択肢から「咬み合わせの不具合」という考え方がすっぽり抜けているわけです。
もし、長い間にわたって頭痛、肩こり、腰痛などにお悩みなら、もしかするとその原因は咬み合わせにあるかもしれません。そうした可能性のある場合は、できるだけ早めにご相談ください。
咬み合わせが悪いことによる弊害としては、
虫歯になりやすい。
歯周病になりやすい。
咬むわずらわしさから食事が偏った栄養バランスになりがち。
発音に影響を起こす場合がある。
食べる時に効率が悪い。
見た目への影響。
当院では、歯並びを良くするだけでなく、歯を中心とした顔の形、顎の機能の正常な発育促進と維持、咬み合わせ、発音、全身の健康に関連する治療を行います。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは、「出っ歯」「下顎遠心咬合」とも呼ばれ、上顎の過成長、または、下顎が上顎と比較して奥に引っ込んでいる状態のことで、学校保健法で不正咬合と判断される基準は、上の前歯が下の前歯より8㎜以上出ているものとされています。
有名なタレントさんにもいらっしゃいますが、日本人は比較的上顎前突の方が多いようです。
下顎前突(かがくぜんとつ)
下顎前突(かがくぜんとつ)とは、「受け口」とも言い、骨格的に下顎が大きい状態のことで、学校保健法で不正咬合と判断される基準は、3歯以上が上下反対の咬合になっているものとされています。
上下の前歯が、前後逆に噛んでいる「反対咬合」になることもあります。
開咬(かいこう)
開咬(かいこう)とは、奥歯でしっかり噛んでも前歯が咬み合わずに上下の歯の間が開いてしまう咬み合わせのこと(稀に逆に前歯を咬み合わせても奥歯がかみ合わないケースもあります)。学校保健法で不正咬合と判断される基準は、奥歯を咬んだ時に上下の前歯が6㎜以上空隙が出来るものとされています。
開咬は歯列によるものと骨格によるものとに分かれ、原因は、幼年期に指しゃぶりが長く続いていたこと等が原因になることもあります。
叢生(そうせい)
叢生(そうせい)とは、歯が凸凹に生えている状態のことで、「乱杭歯(らんぐいし)」とか「八重歯(やえば)」といったりもします。また、叢生の仲間として「捻転(歯が正面を向かずにねじれて生えている)」というものもあります。学校保健法で不正咬合と判断される基準は、歯がたがいに4分の1以上重なり合うものとされています。
叢生の原因は、歯の大きさや数に対して、顎の骨が小さく、歯が並ぶ充分なスペースが無い場合におこりやすい不正咬合です。
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、上の前歯が下の前歯に深く咬み合わさっているものです。中には、下の歯が全く見えないくらいに噛み合わせが深い症例もあります。
上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)
上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)とは、上顎・下顎ともに前に突き出ている歯並びのことで、外見上も口元が出ているように見えます。
交差咬合(こうさこうごう)
交差咬合(こうさこうごう)とは、左右いずれかの奥歯または前歯が横にずれているかみ合わせのことです。
指しゃぶりが長く続いた場合等によく見受けられます。
正中離開(せいちゅうりかい)
正中離開(せいちゅうりかい)とは、「空隙歯列(くうげきしれつ)」とか「すきっ歯」とも呼ばれますが、歯と歯の間にスペースが出来てしまっている歯並びのことで、学校保健法で不正咬合と判断される基準は、上の左右中切歯の間に6㎜以上の空隙があるものとされています。
正中離開の原因は、叢生の場合の反対で、顎の大きさに対して歯が小さい場合や、先天的・後天的も含めて歯の数が足りない場合におこりやすい不正咬合です。
切端咬合(せったんこうごう)
上下の前歯の先端どうしが真っ直ぐにぶつかっているかみ合わせです。
切端咬合の原因は、舌の癖や口呼吸・あごの骨の成長パターンの異常のために起こりやすい不正咬合です。
1.遺伝
子供の顔や体格が親に似るのと同様に、歯列についても親からの遺伝を受ける場合があります。
2.虫歯や歯周病
虫歯や歯周病によって歯を失うと、その両側の歯が次第に移動してきたり傾斜してきたりします。また、これは永久歯のみならず乳歯についても同様のことがいえます。乳歯だから、といって虫歯を放置したりすると、その下にある永久歯も影響を受けて、歯列が乱れる原因となります。
3.生活習慣
最近よく言われるように食事の欧米化によって、柔らかい食事が増え咬む回数が減り、顎が充分に発達せずに顎の骨の大きさに対して歯の大きさが過大になり叢生となるケースがあります。また、開咬の部分でも触れていますが、幼児期の指しゃぶりが開咬や上顎前突の原因となる場合もあります。
4.病気等
先天的に歯の本数が足りない場合や、アレルギー性鼻炎等によって鼻呼吸が出来ずに口呼吸をすることによって不正咬合となる場合もあります。